訪問介護をスタートさせたいのであれば、訪問介護でよく発生する迷惑行為についても理解しておく必要があります。訪問介護ではよく利用者からのハラスメント問題が取り上げられますが、迷惑行為はそれだけではありません。
例えば、認知機能の低下が要因とされる被害妄想による迷惑行為があります。「財布が取られた」「入浴中に物がなくなっている」「暴言を吐かれた」といった妄想によって周りの人を巻き込むケースが多いでしょう。被害妄想の中でもよくあるのは、見つからない物に対して自分の物忘れのせいにしたくないがゆえに、第三者に取られたということにしてしまう物取られ妄想です。身近な人がターゲットにされてしまいやすいため、介護サポートで訪れた介護スタッフさえも対象とされてしまうことがあります。
また利用者からの迷惑行為以外に、利用者家族からの理不尽なクレームも挙げられます。在宅介護の増加とともにクレームも増えてきており、介護現場では「モンスターファミリー」という言葉として浸透してきているようです。よくある例として、職員を基本的に信用していないケースや、横から口出しばかりして大騒ぎするケース、お金を払っているのだから介護してもらうのは当然といった態度をとるケースなどが挙げられます。これらのケースのように、後から口を出してくるモンスターファミリーに見られがちなのが、施設見学なしで契約を結んでいる家族です。訪問介護サービスの内容を確認せずに契約したことで、利用時になって初めて自分たちの想像していたサービスと違うと思ってしまうのでしょう。その考えのズレがクレームとして介護スタッフに降り掛かってくるのです。こうした迷惑行為をできるだけ発生させない、発生しても即対応できるように、事前にそれぞれの行為に適した対応方法を考えておきましょう。